第2回学生・学長オープントーク 参加レポート
5月29日に行われた第2回学生・学長オープントークに参加して得た情報や感想を共有したいと思います!
当日の録画や資料は入手できるので、参加しなかった方やもう一度内容を思い返したい方は閲覧することをお勧めします。
以下のURLから閲覧できます。
https://www.office.uec.ac.jp/president/open-talk/
0.オープニング!
学長が学生に直接語りかけ、質問に答えるという貴重な場であるため、参加者からは緊張感を感じました。しかし、いざ学長が話し始めると、そのフランクで親しみやすい語り口がイベント全体の雰囲気を和やかにし、学生たちの緊張もほぐれていきました。
学長のオープニングトークは、気に入っている電通大の豊かな自然に関する心温まる雑談から始まりました。学長は、電通大が多くの木々と野鳥に恵まれた素晴らしい大学だと感じていると語り、最近では、女性ボーカリストのUruのミュージックビデオに電通大が全面協力しており、その理由が「緑が多いから」や「良いシーンがたくさんあるから」だと語られました。
1.新入生へのメッセージ
学長は新入生に対し、悩んだ時はためらわずに相談してほしいとおっしゃっていました。大学生活で困りごとがあればまず、学生何でも相談室へ行くことを検討してほしいそうです。勉強面でのつまずき、不安があれば優しい先生方がアカデミックアドバイザーとして相談に乗ってくれる制度が整備されていることも強調されました。
2.電通大はAI推進大学
電通大はAIの利用を推進しています。特に大学契約の「Gemini」と「NotebookLM」が推奨されており、これらは入力した情報が外部に漏れたり、学習や広告に利用されたりしない契約になっているため安全であると説明されました。NotebookLMは、読み込んだ資料からのみ情報を得るため、ハルシネーション(AIが事実ではない情報を生成すること)を起こしにくい点がメリットのようです。
また、AIはレポート作成、プログラム記述、論文要約などに役立つ一方で最終的な責任は使用者にあることや、誤った情報を与えてくる可能性があるということに注意してほしいとおっしゃっていました。個人情報や機密情報は外部に送信しないよう厳守するべきだとも語っており、AIとの正しい向き合い方をよく考えて使うようにしてほしいというような印象を受けました。
3.英語のできない電通大生とはもう言わないで!
過去に英語のできない電通大生と言われてきたことに対し、学長は「もう言わないで!」と大学の英語力向上への取り組みを説明しました。B1からM1まで必修の英語講義を設け、全学域生にTOEICの受験を義務化(費用は大学負担)しているとのことです。この結果、2024年度の3年生のTOEIC平均スコアは633点、学域卒業時点で「TOEIC650点」の大学と言えるレベルに達しており、ほかの情報科学系や理工農系の国公立大学平均と同等または高い実績が出ていると報告されました。
4.留学について
電通大は、アウトバウンド(海外へ派遣する)の留学生を3倍増を目指しており、様々な支援策を実施しているようです。ここでは研究留学の相談、海外大学院への進学相談、研究留学先のマッチング補助、留年しない研究留学の推進などが挙げられました。特にJICA海外協力隊大学連携派遣プログラムは、必要経費がゼロで滞在費も支給されるため、学生からの応募が多い人気のプログラムであると紹介されました。
5.博士になろう!
学長は、日本が二流国になりつつある現状に警鐘を鳴らし、その原因として「キャッチアップ型」から「イノベーション型」国家への転換に失敗している点を挙げました。特に博士人材の不足と、博士の活躍の場が限られていることが問題であると指摘しました。電通大では「日本版Industrial PhD制度」を提言し、多様な博士人材が様々な組織や地域で活躍できる社会の実現に取り組んでいるとのことです。政府も博士学生への大規模な経済支援策を開始しており、電通大もUEC-SPRINGやUEC-BOOSTといった独自の支援制度を提供していることが紹介されました。
6.電通大ベンチャー
電通大は現在43社の認定ベンチャーを有しており、教員数から見ると多くのベンチャーがある大学であると説明されました。
大学は、学生支援、ベンチャー教育、教員連携、金融機関・VCとの連携、行政・公益・機関との連携など、多岐にわたるベンチャー支援を行っています。最近の成功事例として、2019年卒業の学生が立ち上げたAI関連ベンチャーが3億円の資金調達に成功したことが挙げられ、学生にもベンチャー創設を考えてほしいと促されました。
7.e-Nexus棟完成間近!
新しくe-Nexus棟が建設されており、秋頃から利用開始予定であることが発表されました。これは、大学が「ポストコロナの新たな大学モデル」を目指し、「武蔵野の自然とICT」が融合した空間となることを意図しています。特に1階は「NEXUSパーク」として、学生が自由に集まり、お菓子を食べたり、イベントを行ったりできるオープンなスペースになるようです!
8.電通大の財政状況
大学の年間予算は約100億円で、その内訳は国からの運営交付金が50億円、授業料が30億円、外部資金が20億円であり、そのうちの約半分が人件費に、残りの半分が物品購入費に充てられているようです。近年、インフレや人事院勧告による人件費の上昇により、年間約6億円の支出増要因があるにもかかわらず、運営交付金の総額は増えておらず、財政的に厳しい状況に直面していることが説明されました。学長は、令和7年、8年、9年の3年間は特に危機的な状況となる可能性があり、授業料を含む財政的検討を開始する時期に来ていると述べました。ただし、学長自身は低学費で優秀な人材を集めるという国立大学の特性を守るため、授業料値上げには反対の立場であることを表明しつつも、検討は避けられない状況にあることを伝えてくれました。
9.東京都事業に関する新聞報道
学長から、5月21日の東京新聞などで報じられた東京都事業に関する報道について説明がありました。この事業は、大学の研究者が持つ研究成果を都民のために社会実装することを目的としており、純粋な研究費ではなく、大型の社会実装経費(連携事業費)が支給される点を特徴としています。学長は、この事業が電通大の「教育、研究、社会実装」というミッションステートメントと相性が良いため、積極的に応募したと述べました。
報道内容は令和4年度の都民投票に関するものであり、原因は、大学側が「提案者による公表は禁止」という実施要綱の規則を「関係者への情報共有は公表に当たらない」と誤認したためだそうです。学長はこれを「表層的な法令遵守を超えたコンプライアンス意識が欠如していた」と結論付けており、重要な事業の信用を傷つける軽率な対応であったと深く反省していると述べました。現在はこの事業での活動を中断しています。また、原因究明のために調査委員会を設置し、6月末頃までに事実関係、原因、課題に関する調査報告をまとめる予定だそうです。学長は、今回の件を「私を含め本学全員に、法令の真意を理解し高いコンプライアンス意識を醸成する良い機会と捉えている」と述べました。
次のページでは、質疑応答についてまとめました!