国際インターンシップ@電通大
インターンシップのあれこれをインターンシップ推進室の先生方にお聞きし、インタビューさせていただきました。全4回の構成を予定しており、第4回である本記事では国際インターンシップについて紹介します。
この回では、インターンシップ推進室の古川先生に加え、実際に今年国際インターンシップに参加された松浦さんにお話いただきました。
国際インターンシップのメリット
国内だけじゃない。海外だからこその強み!
松浦さん: コミュニケーションが⽇本語じゃない、というのが大きいと思っていて、今回自分は台湾の方に行ったんですけど、正直中国語はほとんどできないです。ですので英語を主に使ったんですけど、そこで英語の、「コミュニケーション手段としての英語」の大切さを再発見して、言語に関する経験が積めるのはいいことだなと思います。あとは、現地の生活に触れることができるというのも、留学と共通する部分もあると思うんですけど、インターンを通して二つ一気にセットで経験できるのは大きいことだなと思います。
古川先生: 電通大の学生が主に学んでいるエンジニアリングの世界は、当たり前ですけど、一度、理論や規格が理解できたら世界中どこでも仕事ができる分野です。また、⽇本でエンジニアリングをやっているだけで、世界中である程度の評価はもらえる。それで英語ができれば世界中どこでも仕事ができる。こんなに恵まれた仕事や業界はないと思います。私のもう一つの専門領域として、入管法があります。日本の入管法は、世界から⽇本に来る人には関係がある。だけど他の国に行くとその国の入管法があり、⽇本とは違う入管法となります。そのため、その国の入管法の専門家にならないと仕事ができない。情報工学とか機械とか電気電子などの分野では、なぜ機械が動くのかとかなぜコンピューターが動くのかというのは世界中どこへ行っても同じです。⽇本で就職をして、⽇本で仕事をするということは全然否定することではないですし、それは人生の目標なり人生設計で構わないけれど、日本国外にも広い世界が広がっていることを、特に、電通大でエンジニアリングを学んでいる学生には知ってもらいたいということが、私が国際インターンシップを皆さんにお勧めする理由でもあります。
さらに副次的な話をすると、多くの電通大生が卒業後に就職していくような会社では、⽇本市場だけをターゲットとして製品開発をすることはもうしていません。それであれば、一層のこと、今のうちから国際的にやってみてもいいじゃないかというところはあります。
松浦さんの国際インターンシップ体験談
国際インターンシップへの動機
松浦さん:インターン自体は前々から行きたいなとは思っていたんですけど、台湾とかに行きたいなっていうのは正直真面目な理由ではなくて、とにかく美味しい食べ物が食べたい。 そこの一点だったんですね。台湾は、一度海外旅行で行ったことがあって、興味のある理由は全部食べ物だったので、そこを起点にしてじゃあどうやったら行けるかなっていうのを考えた時に、旅行でもいいんですけど、それだけじゃもったいないからインターンも合わせてやってみよう、みたいな感じで始めて考えてみたのがきっかけです。
いつごろから国際インターンシップを考えていたのか
松浦さん:正確には覚えていないんですけど、高校生ぐらいの時から海外に行きたいなとは 思っていたんです。ただ、コロナで行けなくなっちゃって、その後大学1年生で語学留学に行って、そこからやっぱりインターンに行こうみたいな感じには、うっすらですけど思っていました。ただ、本格的に考え始めたのは結構ギリギリで3年生になってからですかね。
この先の就職について
松浦さん:何も考えていないというところが正直な話なんですけど、まずは大学院に行ってみて、就職、海外に行ったことで逆に⽇本の良さを再発見できたってこともあるので⽇本国内(に就職)なのかなと自分ではちょっと思っています。
国際インターンシップに参加してみての感想
松浦さん: 個人的には行ってよかったなと思っています。食べ物とか現地の生活とかそっちの面もあり、そして、インターンとしてちゃんと向こうで学びを得ることができたというのが大きいです。自分、実は勝手に国内の研究インターンに何社か出していたんですけど全部ダメだったんです。学部3年で研究実績がないのでどうしても通らない。そんな中で、大学推薦でちゃんと研究をするところに行けるっていう凄く貴重な機会をいただくことができて嬉しいです。何事も挑戦してみることが大事なのかなと思います。とにかく少しでも興味があるなら試してみた方がいいかなと思います。
国際インターンシップならではの不安① 言語面
不安よりも挑戦!完璧を目指さなくて大丈夫
松浦さん: 大学入試をちゃんとやっていれば大丈夫だと思います。会話ができれば、あとはメールとか書類を作ってそれを渡して理解してもらうみたいな。自分もそうだったのですが、専門的な用語はわからないので報告書みたいなのを作って渡して読んでもらうみたいなそういうことが多かったです。言語は正直ちゃんと話す覚悟ができれば問題ないのかなと、英語に関してはそうですね。
古川先生:もちろんできるかできないかで言うとできた方が良いに決まっているし、 TOEIC500点よりも満点の方が国外に行って苦労するレベルは下がると思います。ただ、 ⽇本語でも同じですけど、専門用語は、その場やその会社、業界によって使う言葉も様々ですし、完璧に準備をしてから渡航するとなるといつまでたっても行けません。英語を使って意思疎通ができるだとか、考えていることをとりあえず伝えることができる、しかもそれをある程度リズム良くできるということをまずやってもらうことが良いと思います。そして、渡航が決まれば、場合によっては、現地でご指導いただける方から、「事前にこれを読んでおいて」とか、「こういうことを準備しておいて」ということが出てくることもあるので、こなしながら渡航準備を進めていくことになります。例えば、国際インターンシップへ参加する前から、計画的に語学留学に行き準備を進めた学生もいますが、毎年、人生初めての海外が今回の国際インターンシップです、という学生もいます。そのため、そこまで心配せず、やる気があったり興味があれば、ぜひ気楽に相談してもらいたいです。
松浦さん: 自分の場合はそうですね、決まってから行くまでが結構ギリギリだったので、 特にそういうの(事前に何か読んだり、準備したりすること)はなかったんですけど、自分の場合は大学 1 年の時、1 年の冬に 1 回短期の語学留学に行っていたので、そこの経験が活かせたのかなと思っています。それ以外は特に何もしてない感じです。
国際インターンシップならではの不安② 金銭面
高くても価値がある。経験への投資
古川先生:ここはどうしようもない要素も多いです。残念ながら、現在円が安いですし、ウクライナや中東で戦争が続いているため、サーチャージ(燃油の特別料金)が下がりにくい状況です。加えて、東南アジアの人々を中心に所得が上がってきていることと、航空便の座席数の供給量も影響しています。航空便の本数は、コロナ前と比べてようやく同じぐらいに戻りつつありますが、東南アジアを中心に所得が上昇していることに伴い、⽇本行きのチケットが人気で、安いチケットは少なくなっています。そのため、どうしても残っているチケットは少し高めのものが多くなります。また、東南アジアでもインフレです。これにより、以前と比べて、東南アジアでのインターンシップに必要な費用も、現在は高くなってしまっている状況です。ヨーロッパ行きの場合、今は国際的な問題で航空機がロシア上空を通過できないため、遠回りして行く必要があり、その分余計に燃油代がかかります。アメリカでのインターンシップでも、円安に加えて現地のインフレが激しいです。つまり、安くなる要素が全くない状況です。⽇本学生支援機構や目⿊会から提供される基金で滞在費のサポートはありますが、全体の滞在費から考えると、十分ではありません。他にも⺠間の奨学金サイトを案内し、もし利用できるなら探してみてくださいとアドバイスはしていますが、どうしてもお金がかかる点は仕方がない部分です。
国際インターンシップの舞台裏:電通大と海外との懸け橋
未来への扉を開く架け橋に
古川先生:海外でのインターンシップは、海外の企業にとってみると、基本的に人材採用の前哨戦です。例えば、アメリカのインターンシップは、学生の皆さんも興味があると思います。しかし、アメリカでは、実際にインターンシップを行う1年ほど前から、企業側で人材採用計画とインターンシップの実施計画を立て、各社の人事担当責任者が、例えばシカゴ大学やMITといった大学を直接訪問し、宣伝活動を行っています。そのため、日本からのインターンシップを希望しても、一般的な企業であれば、こちらからお願いしたとしても、最終的には、人材採用計画の一環として在アメリカの学生と比較して採用するかどうかを決めることとなります。しかも実施期間も、3ヶ月でも短く、半年程度は実施することとなりますので、考え方が全く異なってきます。そうなると、電通大の学生だとある程度専門性もあるため、大学や研究機関と話をさせていただくことが多くなります。実際に繋がりを作るときには、ある程度我々が今までお付き合いがあるところや、出張中に紹介を受けて訪問を行うといったことで地道に開拓をしています。
古川先生: ところで、LinkedInというアプリを知っていますか? ⽇本のChatworkとfacebookを合わせたものようなもので、ヘッドハンティングをしたい人事採用者や、自分のスキルはこういうものがあるから売り込みたいという転職希望者が使うSNS です。海外では一般的なSNSですが、ここから見つけてくる学生もいます。Aという国のBという会社でのインターンシップを見つけたので行っても良いですか?というご相談です。国際インターンシップの公募ですね。しかし、実際にLinkedInを活用して参加する学生数は少ないです。そのため、ほとんどはこちらから現地の機関へのお願いになってきます。
電通大生の方へ
古川先生:海外だからと気負って、プレッシャーを感じたりしないで、気楽な感じで来てもらってほしいですね。そうしないと、海外で、松浦さんも経験されたかもしれませんけど、一人で1ヶ月とか1ヶ月半とか、短いようで、いるといろいろな意味で結構ストレスなんですよね。言葉も通じない、食事も違う、雰囲気も違う。そこでなんとなく嫌々とは言いませんけど、本当に腹落ちしてそこに行っているのであればいいんですけどね。
松浦さん:国際と聞いて少し高尚なというか、結構行きにくいイメージもあると思うんですけど、まずは、インターンシップ推進室で相談してみることが大事かなと思います。今回も大変お世話になりました。少し興味があるなら、試しに寄ってみるぐらいの感覚で行くと、 それが人生の大きな転換点になるかもしれない。何事も挑戦してみることかなと思います。

■古川 浩規 特任准教授
インターンシップ推進室特任准教授。
電通大を卒業後、官公庁勤務を経て独立し、ベトナムで起業。
「皆さんと国外をつなぐお仕事をしています。」

■松浦史明 さん
Ⅰ類 メディア情報学プログラム 科学技術英語副専攻
柳井研究室に所属し、現在は画像から3D Sceneを出力するための
Neural Networkについて研究中。
インターンシップ推進室の情報は以下のリンクから↓
インターンシップ関連記事は全4回で今回が最終回!!
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